敦賀市にある気比神宮は、北陸道の総鎮守・越前國一之宮でもある、非常に格式高い神社です。
その歴史は飛鳥時代にまで遡り、昭和の戦火を免れた大鳥居がよく知られています。
松尾芭蕉も訪れ、称賛したという気比神宮について見ていきましょう。
日本三大鳥居
敦賀駅から徒歩で15分。
気比神宮のシンボルとも言える朱塗りの鳥居が見えてきます。
佐渡のムロの木で建立されたと伝わる11mの立派な大鳥居は、広島の厳島神社・奈良の春日大社と並ぶ、日本三大木造大鳥居の一つです。
以前は国宝でしたが、現在は国の重要文化財として登録されています。
気比神宮を護る神様
気比神宮の御祭神は、伊奢沙別命(いざさわけのみこと)をはじめとする合計7柱です。
主祭神の伊奢沙別命(いざさわけのみこと)は、御食津大神(みけつおおかみ)とも称される、食物を司る神です。
また、海上交通や漁業・農業、衣食住全般を護る神としても崇められてきました。
これらは、敦賀の地が古くから朝廷に海産物などの食物を送り届けていたこと、また、若狭湾に面し、朝鮮半島や中国への玄関口であったことなどが由縁と言えるでしょう。
俳人・松尾芭蕉お気に入りの気比神宮
気比神宮は、あの松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅で訪れたとも言われています。
中秋の名月の前日、8月14日に敦賀を訪れた芭蕉は、気比神宮での月見を楽しみにしていることを宿の主人に伝えると、「北陸の天気は変わりやすいから、晴れている今晩のうちに見た方がいい」と告げられます。
主人の忠告を聞いた芭蕉はその晩気比神宮を参拝し、見事な月を目にしました。
月明かりに照らされた神前の白砂にいたく感動した芭蕉。
実は気比神宮の周辺はもともとは泥で歩きにくかったのですが、遊行上人が砂で整備したのです。それを聞いた芭蕉は、その功績を称えて次のような句を詠んでいます。
「月清し 遊行のもてる 砂の上」
気比神宮が人々を惹きつけるのは、今も昔も変わらないのかもしれません。
長命水
大鳥居から参道を進んですぐのところにある長命水は、気比神宮内のパワースポットとして人気です。
気比神宮の造営中に突然湧き出したと言われています。
御祭神の中でも武内宿禰命は大変長生きの神様だったため、「長命水」は神々の御神徳が宿る神水として、1300年以上も信仰されているのです。
水が亀の口から湧き出ているところも、風流ですね。
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