お土産と言えば、甘い和菓子や洋菓子を思い浮かべませんか?中でも和菓子を名産にしている所も結構多く、福井県の羽二重餅もその一つです。
羽二重餅は福井県の代表的な銘菓で歴史は古く、その銘菓を作り上げた福井の人々の思いがたくさん詰まっています。
今回は羽二重餅の由来や背景に焦点を当てていきましょう。
■羽二重餅とは?
羽二重餅は、1847年に福井県の錦梅堂(きんばいどう)で作られたと云われています。錦梅堂は初代・紅谷伊三郎によって創業され、越前の名産である絹織物をイメージして作られたのが羽二重餅です。
餅粉を蒸して砂糖、水飴を加えて練り上げたお餅は、なめらかで柔らかく美しい輝きがあります。優しい甘さで、口の中でとろけるのが羽二重餅の特徴と言えます。
◆羽二重という絹織物
昔から北陸地方は養蚕、絹織物が盛んな地域で、貢物として使われていたという歴史書への記述が残っています。羽二重は平織りという織り方で織られた絹布ですが、明治初期に欧州へ派遣された使節団が持ち帰った生地を参考にしたと考えられています。
数年後には羽二重という名称が定着し、特に福井で産出される羽二重はこしがあり、丈夫で光沢が美しいと好評を得るようになりました。
◆羽二重餅が作りだされた背景
福井県の名産となった羽二重という絹織物ですが、この上質な織物を目にすることは少なく、ほとんど海外向けに作られていたということです。
福井の人々はそれに納得がいかず、羽二重を彷彿とさせるような土産物を作り出そうと
考え、それが福井名物となった羽二重餅です。
羽二重のように柔らかく光沢があって口の中でとろけ、見た目も羽二重を連想させるようなふわりとした銘菓に仕上げたのでした。
■羽二重餅発祥の老舗・「松岡軒」
JR福井駅から徒歩5分ほどの場所に、「羽二重餅総本店・松岡軒本店」があります。
明治30年から続く羽二重餅発祥の老舗として知られています。
創業者である淡島恒(あわしまつね)氏の実家は織物屋でしたが、和菓子の世界へ飛び込み、東京の和菓子屋「松岡軒」で修行を積みました。
後に暖簾分けをされて、地元福井で「松岡軒」としてお店を出すことになりました。
国内産の餅粉とグラニュー糖、水飴だけというシンプルな材料ですが、今でも配合を変えることなく創業当時の味を守り続けています。
羽二重餅総本店・松岡軒本店の場所
〒910-0006 福井県福井市中央3丁目5−19
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